スタッフ
ハル・ハートリー:監督・脚本・音楽・編集
1959年、ニューヨーク州リンデンハースト生まれ。NY州立大学パーチェス校で映画製作を専攻し、『アンビリーバブル・トゥルース』(89)でデビュー。続く『トラスト・ミー』(90)と『シンプルメン』(92)で人気を確立し、1997年にはカンヌ映画祭に『ヘンリー・フール』を出品して脚本賞に輝いた。Amazonプライムビデオのドラマシリーズ「レッド・オークス」では全3シーズンにわたってエピソード監督を担当した。自作の映画音楽も手がけており、初期は「ネッド・ライフル」という別名義を使用していた。近年はクラウドファンディングによって旧作を復刻し、自身のプロダクション「ポッシブルフィルムズ」から日本語を含む五カ国語字幕を付けてリリースするプロジェクトを進めている。
撮影 マイケル・スピラー
1961年、ニュージャージー州生まれ。ニューヨーク州立大学パーチェス校でハートリーのクラスメートとなり、学生時代から2001年の『No Such Thing』まで、ほぼすべてのハートリー作品で撮影監督を務めた。テレビドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」の撮影を手がけたことが転機となり、同シリーズで監督を手がけるように。現在はロサンゼルスに拠点を移し、テレビドラマの監督兼プロデューサーとして活躍している。
製作 テッド・ホープ
1962年生まれ。リッキー・ルドウィグを通じてハートリーと知り合い『アンビリーバブル・トゥルース』に助監督として参加。『トラスト・ミー』以降はプロデューサーとしてよき相棒となる。自ら設立したプロダクションGood Machineの作品としてハートリーに短編製作をオファーした張本人でもある。トッド・ソロンズ、アン・リー、イニャリトゥらそうそうたる名監督たちの作品を数多く手がけ、現在はアマゾンスタジオ映画部門の共同責任者。
キャスト
マーティン・ドノヴァン
Martin Donovan『サバイビング・デザイアー』ジュード役
1957年カリフォルニア州レセダ生まれ。NYのクカラチャ劇団に参加し『トラスト・ミー』(90)で映画初主演。『シンプルメン』では粗野な漁夫役。『愛・アマチュア』(94)ではイザベル・ユペールと共に主演。『ブック・オブ・ライフ』(98)では悩み深きイエス・キリストを演じた。脚本、主演も務めた『Collaborator』(11)で監督業にも進出。『アントマン』(15)などハリウッド大作にも出演している。
エイドリアン・シェリー
Adrienne Shelly
『オペラNo.1』女神役
1967年クイーンズ生まれ。ハートリーの長編第一作『アンビリーバブル・トゥルース』(89)に主演して映画デビュー。続く『トラスト・ミー』(90)にも主演しハートリー作品を象徴する存在となる。監督、脚本、出演を兼ねた『ウェイトレス~おいしい人生のつくり方』(07)は後にブロードウェイミュージカル化された。2006年11月1日にたまたま居合わせた作業員に殺害されるという不慮の死を遂げた。享年40歳。
パーカー・ポージー
Parker Posy
『オペラNo.1』女神役
1968年ボルチモア生まれ。NY州立大学パーチェス校で演技を学ぶ。リチャード・リンクレーター監督の『バッド・チューニング』(93)などに出演して“インディーズの女王”の異名を取った。ハートリー作品では「オペラ No.1」(94)、『愛・アマチュア』(94)を経て『ヘンリー・フール』(97)でフェイ役。続編『フェイ・グリム』(06)では主役に昇格し、三部作の完結編『ネッド・ライフル』(14)でも同役を演じた。
ビル・セイジ Bill Sage
『セオリー・オブ・アチーヴメント』ビル役
1962年ニューヨーク生まれ。NY州立大学パーチェス校で演技を学ぶ。『アンビリーバブル・トゥルース』(89)、『トラスト・ミー』(90)では端役を務め、『シンプルメン』(92)ではロバート・バークと兄弟役で主演。『FLIRT/フラート』(95)、『No Such Thing』(01)、『The Girl from Monday』(05)、『ネッド・ライフル』(14)など、ハートリーの長編作品のほとんどに出演している常連中の常連。
エリナ・レーヴェンソン
Elina Löwensohn
『セオリー・オブ・アチーヴメント』エリナ役
1966年ルーマニア、ブカレスト生まれ。14歳の時に政治難民としてアメリカに移民。「セオリー・オブ・アチーブメント」(91)で女優デビューし、『シンプルメン』の伝説的なダンスシーンで脚光を浴びる。以来ハートリー作品の常連として活躍。近年はヨーロッパ作品の出演が多く、イタリア映画『Simple Women』(19)では「ハートリー作品に出ていた女優エリナ」役を演じている。
カレン・サイラス
Karen Sillas
『キッド』パッツィ役
『地図職人の恋人』
1963年ブルックリン生まれ。NY州立大学パーチェス校で演技を学び、ハートリーの初期短編から出演。 ペイン看護師を演じた『トラスト・ミー』(90)と 『シンプルメン』(92)のケイト役で注目を集め、テレビドラマ「Under Suspicion(原題)」に主演して高い評価を得た。2014年には『ネッド・ライフル』でハートリー作品に復帰し、マーティン・ドノヴァン演じる神父の妻を演じている。
メアリー・ウォード
Mary Ward
『サバイビング・デザイアー』ソフィ役
1986年にボブ・ワインスタインとハーヴェイ・ワインスタインが共同監督、脚本、製作、音楽を務めた青春映画『高卒物語』でデビュー。マイケル・アルメイダ監督の『Another Girl, Another Planet』(92)ではエリナ・レーヴェンソン、ボブ・ゴッシと共演。ウェイン・ワン監督『スモーク』(95)では書店の店員を演じた。近年はテレビシリーズを中心に活動を続けている。
レベッカ・ネルソン
Rebecca Nelson
『サバイビング・デザイアー』ケイティ役
『トラスト・ミー』のマリアな母親ジーン役で知られている(クレジット表記はメリット・ネルソン名義)。主に演劇の世界で活躍しており、ハーバード大学やイエール大学などでも演技を教えている。ハートリー作品では『ヘンリー・フール』(97)にフライトアテンダント役で終盤にチラリと登場した。『A, B, C...Mantahhan』(97)などでアミール・ナデリ監督ともコラボしている。
ジェームズ・アーバニアク
James Urbaniak
『オペラNo.1』ジェームズ役
1963年ニュージャージー州生まれ。高校卒業後、劇団アーデン・パーティの設立に参加。「オペラNo.1」でハートリー組に初参加し、『ヘンリー・フール』(97)でトーマス・ジェイ・ライアンと共に主演を務める。その後も多くのハートリー作品に出演している。ウディ・アレン監督『ギター弾きの恋』(99)ではギタリスト役。『アメリカン・スプレンダー』(03)では実在の漫画家ロバート・クラムを演じた。
ジョージ・フィースター George Feaster
『アンビション』『サバイビング・デザイアー』 『キッド』アイヴァン役 『地図職人の恋人』ジョージ役
ハートリーとはNY州立大学パーチェース校時代からの友人で、ハートリーの初期短編の多くでエキセントリックな役柄を演じている他、2011年の『はなしかわって』ではラジオアナウンサー役で声のみの出演を果たしている。『ロシアン・ルーレット』(10)ではサム・ライリー、ジェイソン・ステイサム、ミッキー・ロークと共演した。
パトリシア・ドゥノック
Patricia Dunnock
『オペラNo.1』トリッシュ役
リチャード・ジェンキンスが演出した戯曲『ガラスの動物園』でオリンピア・デュカキスらと共演して注目を集め、スコセッシ監督の『エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事』(93)に出演。ジョン・ウォーターズ監督の『シリアル・ママ』(1994)ではマシュー・リラードのガールフレンド、バーディー役を演じた。近作はジョディ・フォスター監督、ジョージ・クルーニー主演の『マネー・モンスター』(16)。
ボブ ゴッシ
Bob Gosse
『セオリー・オブ・アチーヴメント』ボブ役
『キッド』ブルース役
ハートリーとは同郷で、お互いに従兄弟同士だと思って育ったが、実は血縁の繋がりはなかったという。NY州立大学パーチェス校で学ぶ、俳優やスタッフとして最初期からハートリーを支えた。『アンビション』では当時パーカー・ポージーと交際していたことから「パーカー(ポージー)の恋人」としてクレジットされている。後にプロデューサーや映画監督としても活躍。
マット・マロイ
Matt Malloy
『サバイビング・デザイアー』ヘンリー役
ハートリーとはNY州立大学パーチェス校時代の同窓。『アンビリーバブル・トゥルース』(89)では酔いどれドライバー役、『トラスト・ミー』(90)では主人公マシューの職場の上司、『シンプルメン』(92)では警官役を演じた。インディペンデントとメジャーの垣根なく名脇役として活躍中。
パトリシア・サリヴァン Patricia Sullivan
『サバイビング・デザイアー』『アンビション』
1963年ニューヨーク市生まれ。NY州立大学パーチェス校で学ぶ。『トラスト・ミー』で主人公マシューの職場の上司を演じるなど、ハートリー作品の常連俳優のひとり。『FLIRT/フラート』ではハンナ・サリヴァン名義でクレジットされている。アン・リー監督の『ウェディング・バンケット』(93)にも出演。
ジェフリー・ハワード
Jeffry Howard 『セオリー・オブ・アチーヴメント』ホーギー役 『オペラNo.1』歌
ハートリーの記憶によると演劇関係の友人の誰かに紹介されたという。『セオリー・オブ・アチーヴメント』ではアコーディオンで自作曲の弾き語りを披露。『シンプルメン』(92)で神経衰弱気味の男ネッドを演じた。アン・リー監督『ウェディング・バンケット』(93)ではストリート・ミュージシャン役。
ゲイリー・サウアー
Gary Sauer
『サバイビング・デザイアー』大学生役
NY州立大学パーチェス校の出身者で、ハートリー作品には短編『Dogs』(88)から出演。『アンビリーバブル・トゥルース』(89)と 『トラスト・ミー』(90)の両作品で、エイドリアン・シェリー演じる主人公の元ボーイフレンド役を演じた。近年は舞台俳優や声優として活動を続けている模様。
マリッサ・チバス
Marissa Chibas
『地図職人の恋人』
ガール役
1961年ニューヨーク市生まれ。『地図職人の恋人』で風変わりなヒロインを演じた他、ハートリー作品では『ヘンリー・フール』に新聞記者役で出演。2017年には監督、製作、脚本、主演を兼ねた短編映画『Zohra』を発表している。1984年にはブルース・ヴァン・デュセン監督の『Cold Feet(原題)』でグリフィン・ダンの相手役を務めた。
マーク・C・ベイリー
Marc Chandler Bailey
『セオリー・オブ・アチーヴメント』マーク役
『アンビリーバブル・トゥルース』(89)と『シンプルメン』(92)の両作品に、エレキギターを弾く自動車修理工のマイクとして出演。『セオリー・オブ・アチーヴメント』では髭もなく髪の毛も整えられているためまるで別人のような印象。近年もインディペンデント界隈で、俳優、プロデューサーとして活動を続けている。
ニック・ゴメス
Nick Gomez
『セオリー・オブ・アチーヴメント』ゴダール役
1963年マサチューセッツ州生まれ。NY州立大学パーチェス校出身。イーディ・ファルコ主演、ボブ・ゴッシが製作を務めた『Laws of Gravity(原題)』(92)で監督デビュー。近年はマーベルの「デアデビル」などTVドラマの監督として活躍。『アンビリーバブル・トゥルース』『トラスト・ミー』では編集スタッフでクレジットされている。
リッキー・ルドウィグ
Ricky Ludwig
『キッド』
ネッド役
ハートリーの高校時代からの友人で、ハートリーに映画を分析的に見ることを教えた人物。軍隊を除隊後NYの映像業界で働き始め、ハートリーとテッド・ホープを引き合わせた。初期ハートリー作品では『キッド』以外にも『Dogs』(88)に出演。『地図職人の恋人』では助監督。ハートリー作品以外の映画にも撮影部でクレジットされている。
スティーヴン・ガイガー
Steven Geiger
『地図職人の恋人』ボブ役
1982年に映画編集者のエド・スタビールが監督を務めたした西部劇『Plainsong(原題)』に出演していたらしい、と言うこと以外、プロフィールの詳細は不明。
パメラ・スチュワート
Pamela Stewart
『キッド』アイヴァンの姉役
『トラスト・ミー』(90)に出演し、マシューの隣人ブレック夫人を演じた。『愛・アマチュア』(94)でのお人好しの女性警官役も忘れがたい。近年もパメラ・ホールデン・スチュワート名義で女優業を続けており、『ジュリー&ジュリア』(09)などに出演している。
ジャニーン・エリクセン Janene Eriksen
『キッド』少女役
『キッド』でアコーディオンの腕前を披露するハートリーの実の従姉妹。ほかに芸能活動はなく、現在は結婚して母親になっているという。
レオ・ゴッシ
Leo Gosse
『キッド』ネッドの父役
推測の域を出ないが、名前を見る限りボブ・ゴッシの父親か縁者で、ハートリーの故郷リンデンハーストの住人だと思われる。『トラスト・ミー』(90)にも「レオおじさん」という役名でクレジットされている。